高知新聞

ここで暮らしていて大丈夫なのか。東日本大震災の津波被害を目の当たりにして、そんな思いを抱いた沿岸部の住民は少なくないだろう。 南海トラフの巨大地震で大きな津波被害が予測される県内の沿岸部で、住民が地域外の高台に移住する動きが広がりつつあるという。沿岸部の自治体では、震災の前に人口が流出する  「震災前過疎」 も懸念される状況だ。 県の津波浸水予測によると、10㍍以上の浸水が見込まれる市町村は19に上る。より標高が高い避難場所の確保など、自治体が防災対策の見直し・強化を急ぐのは当然だろう。企業の高台移転も出始めている。 むろん、危機感の強まりは住民も同じだ。子育て世代などの間に、安心して暮らせる場所を求めて別の自治体に転居したり、自宅の新築場所を高台に移したりする動きが広がっても不思議ではない。